これは不適切な問題かもしれない
答えは④「ARではⅣ音を聴取する」です
①MSではⅠ音が減弱する
誤り。
MSではⅠ音は増強する。
Ⅰ音は
「心室収縮力の増大、M・T弁の狭窄(石灰化など)」で増大
「心室収縮力の低下、M・T弁の閉鎖不全」で減弱
これと対照的に
Ⅱ音は
「高血圧、肺高血圧、A・P弁の閉鎖不全」で増大
「低血圧、A・P弁の狭窄」で減弱
A・P弁の「閉鎖不全で増大」、「狭窄で減弱」の理由は
心室内と大動脈の圧較差が、心房心室間とものよりもはるかに大きいため、弁の性状(Ⅰ音増大は主に弁の石灰化で生じる)に起因せず、心室内と大動脈の圧較差で生じる音が、Ⅱ音の増大・減弱に寄与していると考えられているためである
まあⅠ音覚えてその逆と理解すれば国試は解ける
【類題】
MSの聴診所見はどれか(103D57)
答え f
MSの聴診は
- Ⅰ音が増強
- OS(opening snap)
- 拡張期ランブル
を生じているものを選ぶ
eはおそらくPRかAR
②MRでは左室肥大を呈しやすい
誤り(不適切な恐れ)。
MRでは左室拡大を呈しやすい。
基本的に
- 容量負荷 ➡︎ 拡大
- 圧負荷 ➡︎ 肥大
と考えれる(心房では容量・圧負荷ともに拡大)
MRでは
- 左室に対して容量負荷
- 左房に対して容量・圧負荷
肺うっ血をきたし肺高血圧をきたせば
- 右室に対して容量・圧負荷
引き続いて
- 右房に対して容量負荷
が生じる(以下病みえのイラスト参照)
したがって
左室拡大、左房拡大、右室肥大・拡大、右房拡大
が生じる
この選択肢で意見のある方はDMください
【類題】
答え b,c
a.Ⅰ音は減弱する
d.汎収縮期雑音である
e.ARで生じる機能的MSである
③ ASでは病的分裂をきたしやすい
誤り。
ASでは奇異性分裂をきたす。
Ⅱ音は通常
Ⅱa、Ⅱpの順であるが
A弁の閉鎖が遅れる(AS、LBBB)ことでこの順番が逆転する場合がある
それを奇異性分裂という
ASでは右室の収縮が遅れるため(遅脈)、奇異性分裂を生じる
病的分裂とはⅡaとⅡpが異常に離れることである
これはA弁の閉鎖が早まる(MR、VSD)、あるいはP弁の閉鎖が遅れる(PS、RBBB)ことで生じる。
【類題】
答え d
a.弁膜疾患ではASが最も突然死の可能性が高い。
b.心筋肥大のため酸素要求量が上昇し、また大動脈に流れる血流が低下し、冠血流量が低下するめダブルパンチで心筋虚血状態に陥りやすい 。そのため狭心症症状が出る。
c.左室圧負荷のため。
e.動脈硬化、二尖弁、リウマチ熱の後遺症で生じる。高齢者が増加しているためASの患者は増加傾向。
④ARではⅣ音を聴取する
正解。
Ⅳ音は左室の圧負荷で生じると考えられる。
ARでは
- 左室容量負荷 ➡︎ 左室拡大
- 大動脈容量負荷 ➡︎ 収縮期血圧上昇
が生じ、増加した血流を一気に押し出す必要があるため、その結果
- 左室圧負荷 ➡︎ 左室肥大
をきたす。
そのためⅣ音を聴取する。
ASでも左室肥大を生じるためⅣ音を聴取する。
【類題】
答え c,e
a,生じない。奇脈は心タンポナーデや収縮性心膜炎で生じる。
b,Ⅱ音が亢進する。
d,固定性分裂はASDである。ARで分裂は特に変化しない。
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