絨毛膜羊膜炎(以下CAM)は、以下の図のように細菌による感染が上行性に進行し、それに伴い炎症反応も上行性に波及する。
炎症がある程度進行すると
- 頸菅熟化
- 前期破水
- 早発陣痛
が生じ、急速に早産に至る。
CAMの分類
CAMは、不顕性と顕性CAMに分けることができる。
不顕性はほっとくと顕性CAMになり、急速に早産に至る。
不顕性は治療により進行を止めることができるが、顕性はたとえ子宮収縮抑制薬を投与したとしても妊娠継続は困難で、数日中に早産になることが多い。
このため、不顕性CAMの時点で早期診断・治療を行うことが重要である。
CAMをどうやって見つける?
顕性CAMの診断基準は以下のように行う。
①母体の発熱(38度以上)がある場合、以下のうち1つ以上認めること
- 母体の頻脈(100bpm以上)
- 子宮の圧痛
- 膣分泌物・羊水の悪臭
- WBC増多(15,000/μl以上)
②母体の発熱がない場合、上記4つを全て満たすこと
しかしこの診断がなされた時期には、CAMは結構進行しており、なかなか治療効果が望めない。
そのために見つけ出されたのが、早産マーカーである。
有能な早産マーカー
膣分泌物や頸管粘液、羊水を用いて、以下の図にあるようなマーカーを調べる。
羊水検査により、子宮内感染の有無や、胎児肺の成熟の度合いを確認することができ、これらのデータが治療方針決定に役立つ。
羊水中に細菌が見つけらたら妊娠終結である。
CAMをどうやって管理するの?
CAMは妊娠週数によって管理のされ方が異なる。
CAMになると早産のリスクが非常に高まるが、早産で困るのが肺のサーファクタント不足である。
肺サーファクタントは妊娠34週頃に産生量が十分になる。
肺のサーファクタント量が十分に産生されていると、外界で生きていくことができるが、早産だと肺のサーファクタントが十分に賛成されておらず、欠乏し、自力で呼吸することができず死んでしまう。
このサーファクタントの量が生死の境目となる。
サーファクタントが必要
胎児において、肺サーファクタントは副腎皮質ステロイドにより、産生量を増加させることができる。
そのため、「34週未満に生まれそうだ!」という胎児に対して、母体にステロイドを使用する。
ちなみにこのステロイドは効き目が48時間必要であり、またプレドニゾロン使用できない(胎盤で代謝されるため、デキサメタゾン・ベタメタゾンを使用する)。
したがって管理の目安は
というのが大きな原則になりそう
ここまでをまとめる
今までのところを整理すると
- CAMは早産になる
- 顕性CAMは治療効果が不十分であるため、不顕性CAMの時点で見つけたい
- 顕性CAMの基準を満たした時には、すでに遅い
- 早産マーカーが非常に有効
- サーファクタントがなければ生存が厳しい
- CAMの管理はサーファクタントの産生量(妊娠週数)によって場合分けされる
以下の図のような管理のされ方をする。
26週と34週がCAM管理の場合分けのポイントである。
感染症なので抗菌薬は当然使用する。
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