肝臓の良性腫瘍まとめ

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肝血管腫

概念

良性腫瘍80%以上を占める。

一般的に単発性であるが10%程度は多発性に見られる。

肉眼的には境界鮮明な暗赤色腫瘤で割面は円形、蜂巣状の血管腔を示す。

大多数は無症状で偶然発見される。

巨大例では、腫瘤として触知され、時に腫瘍内血栓形成にフィブリノーゲン・血小板が消費され、また赤血球が破壊されるDICをきたすことがあり、その例をKasabach-Merritt症候群という。

 

検査

【9.18 14時追記】

超音波検査ではchameleon signが見られる

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【ここまで】

MRIでは腫瘍内にとどまる大量の血液が自由水として作用するため、T1強調で低信号、T2強調で著名な高信号を呈する。

造影CT辺縁から徐々に染まりこみ、中心部に向けて濃染部は広がり、主要全体が高濃度域となる。この状況が数分以上の長時間にわたる。

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肝動脈造影では、cotton wool appearance(綿花状)が見られる。

 

治療

多くの場合治療は不要。

しかし巨大例、圧迫症状などの有症状例で増大傾向があれば外科的切除。

 

 

限局性結節性過形成

概念

20~50歳の女性の非肝硬変に表在性に単発する。基本的には無症状。

病理学的には中心に膠原線維からなる星芒状瘢痕(central scar)があり、周辺に向かう放射状の線維性隔壁が存在する。

中心域の瘢痕部には異常な壁肥厚を示す血管、炎症性細胞浸潤を伴う小胆管の増生を見る。

肝の新生物というよりは過誤腫ないし血管奇形とそれに伴った反応性の病変と考えられている。

この病変は経口避妊薬とは関係ない(なぜか多くの成書(朝倉内科学・ルービン病理学)にこの記述がある。以前は考えられていたのだろうか?)

検査

造影CTでは 早期で高濃度域、後期で等濃度域を示し、中心域に瘢痕部と一致して低濃度域が見られる。

血管造影では境界明瞭な血流に富んだ腫瘤(hypervascular nodule)として描出され、屈曲・拡張した栄養動脈が腫瘍内部に入り込み、末梢に向かう車軸状血管(spoke wheel appearance)を認めることがある。

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治療

基本的に治療は不要である

 

 

肝細胞腺腫

概念

稀な良性上皮性腫瘍。

正常な肝細胞に類似して、非肝硬変に発生する。

20~40歳代の女性に多く、女性では経口避妊薬、男性では蛋白同化ホルモンの長期服用に関連している。1型糖原病(von Gierke病)に合併することも報告されている。

多くは単発性で比較的柔らかい。

 

検査

腫瘍内や腫瘍の破裂による腹腔内出血、それに伴う腹痛で発見されることが少なくない。

腫瘍内出血のない場合では、造影CTや血管造影でhypervascularな病変として描出。

腫瘍内出血のある場合では、単純CTで高吸収、MRIのT1強調で高信号を呈する。

 

治療

経口避妊薬、あるいは蛋白同化ホルモンを服用している場合は中止させる。

腫瘍内出血がある場合は外科的切除。

悪性転化のタイプもあるため、肝細胞腺腫と診断されたら基本的には切除の対象。

 

 

 

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