誤りを選べ
本邦ではセボフルランが最も使用されている
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/30/3/30_3_342/_pdf
10年前という古い論文で恐縮だが、上記リンクにセボフルランが使用しやすい理由が書かれてある。
抜粋すると
- 麻酔の導入と覚醒が迅速で、麻酔深度の調節が容易である
- 循環抑制作用が少ない
- 自発呼吸下での麻酔導入が可能である
- 小児症例にも対応できる
セボフルランは気道刺激性が低いため、高濃度で吸入することにより、迅速な麻酔導入が可能。また血液/ガス分配係数が低いため、麻酔の導入・覚醒は速やか(本問題で扱うイソフルランよりかは血液/ガス分配係数が高く、覚醒が遅いが)であり、深度調節が容易。
静脈麻酔薬は入眠が得られる投与量と循環抑制を引き起こす投与量が近いため、麻酔導入の際に血圧低下をきたす可能性があるが、吸入麻酔薬であるセボフルランはその作用が少ない。
イソフルランはセボフルランよりも代謝率が高い
これが誤り
代謝率というのは生体内代謝率のことで、代謝率が低い方が良いとされる(代謝産物が体内に蓄積するため)。
イソフルランはセボフルランよりも代謝率が低い。
逆にセボフルランが他の吸入麻酔薬よりも代謝率が高いことがよく知られている。
イソフルランはセボフルランよりも遅く覚醒する
イソフルランは血液/ガス分配係数が1.4と、セボフルランの0.65より高い。
したがって覚醒が遅くなる。
イソフルランはセボフルランよりも気道刺激性が高い
セボフルランは気道刺激性が低いことで知られており、そのため小児などの緩徐導入にも適している。
イソフルランとセボフルランの違いのまとめの図
その他の知識
二酸化炭素吸収剤とセボフルランが反応してできる物質。
蓄積すると腎障害を引き起こす可能性があるが、有害事象報告がないため意義不明。
冠盗血現象
イソフルランには冠血管を拡張させる働きがある。
患者が冠動脈バイパスをしていると、冠血管は拡張するが、バイパス血管は拡張させない。
もしバイパス血管により心筋が栄養されていると、盗血現象により十分な血流が流れない恐れがある。
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