カバードコールの弱点を抑えて効率的に資産を増やす方法
カバードコールについての解説や、その弱点については以下記事を参照。
(以下抜粋)
通常のCCWの弱点は、
・原資産が上昇した場合、売ってるコールはRoll outするため損失は確定する(確定損)
・しかし買ってる株(原資産)の利益は含み益のまま(含み益)
・しかし買ってる株(原資産)の利益は含み益のまま(含み益)
であり、万が一途中で大きく下落してしまった場合には
このような事態がカバードコールの最大の弱点と考えられる(そのためカバードコールする銘柄は一生持っておいても良いと考えられる銘柄が良いとされている)。
そういった事態を防ぐために考えられた方法がLEAPSを用いた戦略である。
具体的な方法
原資産の代わりにより遠い満期のCallを買い、それより期近なCallを用いてカバードコールをする。そうして、期近のCallが満期を迎える際に、”同時に”原資産の代わりに買ったCallをRolling outする。
そうすることで「原資産による含み益(含み損)+Call売りによる含み損(含み益)」を一致させることができる。
また、原資産として株をダイレクトに買うのに比べてCallを買うことで、1/3程度に必要費用を抑えることができる。
買うCallは原資産の代わりに用いる。
したがって、Δが1に近いものを買うのが良いと考えられる。ここではΔ=0.9前後を推奨する。
売るCallはATMか、slightly OTMのコールが最も良いと考えられる。なぜならθとVegaが最大値となるのがATMであるからである。
さらに、Put Call parityより、「Callの買い=原資産の買い+Putの買い」である。
したがって原資産の下落に対してpositive γが効いてΔが減少していく。さらに時間経過とともにΔ decayも生じるためダウンサイドリスクも十分カバーできている。
シュミレーション
ここでは原資産の代わりに2年後のCall(Δ=0.9)を買って、1年後のATM Call(Δ=0.5)を得ることとする。
購入時
満期が2年後のLEAPS Call Δ=0.9を購入し、満期が1年後のLEAPS Call Δ=0.5を売る。この時点で売ったCallのプレミアムは利益となる。この利益が今回の期待リターンとなる。
(A) 1年後、原資産の株価が上昇していた場合
買っていたCallの変化
原資産の代わりに購入していたため、その価値はどんどん上昇する。原資産が上昇するにつれてΔも1に近づいていき、ほぼ原資産の動きと一致する。含み益が増加していく。
売っていたCallの変化
ITMになり、その価値はどんどん上昇する。含み損が増加していく。
原資産の代わりに購入していたため、その価値はどんどん上昇する。原資産が上昇するにつれてΔも1に近づいていき、ほぼ原資産の動きと一致する。含み益が増加していく。
売っていたCallの変化
ITMになり、その価値はどんどん上昇する。含み損が増加していく。
売っていたCallがその満期に近づく or 通過すると、ITMのためexerciseされてしまい、株式のショートポジションを持たなくてはいけなくなるため、その前にRolling up and outを行う。
その際、普通のカバードコールでは売っていたCallのみRollするが、ここでは買っていたCallと売っていたCallを同時にRolling up and outを行う。この戦略は継続して初めて利益が積み重なる。
そうすることで、「原資産による含み益+Call売りによる含み損」を一致させることができる。
※Rolling up:権利行使価格を上げること。Rolling out:満期を次のものに延ばすこと。
(B) 1年後、原資産の株価が下落していた場合
買っていたCallの変化
原資産の代わりに購入していたため、その価値はどんどん減少する。しかし、原資産が減少するにつれてΔは0.9→0.8→0.7と減少していき、原資産の値動きより緩やかに価値が減少していく。含み損は増えていくが、その増え方は緩やかになっていく。
売っていたCallの変化
OTMになり、その価値はどんどん減少する。含み益が増加していく。
原資産の代わりに購入していたため、その価値はどんどん減少する。しかし、原資産が減少するにつれてΔは0.9→0.8→0.7と減少していき、原資産の値動きより緩やかに価値が減少していく。含み損は増えていくが、その増え方は緩やかになっていく。
売っていたCallの変化
OTMになり、その価値はどんどん減少する。含み益が増加していく。
売っていたCallがその満期に近づく or 通過すると、OTMのためexpireされる。このまま株価が下落していき、投資する価値がないと判断すればポジションをクローズすれば良いが、ここではRolling downする。この戦略は継続して初めて利益が積み重なる。
その際、普通のカバードコールでは売っていたCallのみRollするが、ここでは買っていたCallと売っていたCallを同時にRolling downを行う。
そうすることで、「原資産による含み損+Call売りによる含み益」を一致させることができる。
(C) 1年後、原資産の株価が不変だった場合
買っていたCallの変化
原資産の代わりに購入していた。株価が動かなかった場合、時間的価値の分だけ減少していく。時間的価値は基本的に影響は大きくはないが、買っていたCallの価値はわずかに下落し、含み損が出る。
売っていたCallの変化
時間的価値の分だけ減少していく。時間的価値は基本的に影響は大きくはないが、売っていたCallの価値はわずかに下落し、含み益が出る。
原資産の代わりに購入していた。株価が動かなかった場合、時間的価値の分だけ減少していく。時間的価値は基本的に影響は大きくはないが、買っていたCallの価値はわずかに下落し、含み損が出る。
売っていたCallの変化
時間的価値の分だけ減少していく。時間的価値は基本的に影響は大きくはないが、売っていたCallの価値はわずかに下落し、含み益が出る。
売っていたCallがその満期に近づく or 通過すると、ATMのためexercise or expireされる。exercise された場合、株式のショートポジションを持たなくてはいけなくなるため、その前にRolling outを行う。正直exercise されるかexpireになるかは、全く不明であるため、基本的には満期を迎えるまにRolling outするべきだと考えられるこの戦略は継続して初めて利益が積み重なる。
その際、普通のカバードコールでは売っていたCallのみRollするが、ここでは買っていたCallと売っていたCallを同時にRolling downを行う。
そうすることで、「原資産による含み損+Call売りによる含み益」を一致させることができる。
実際の流れは次の記事を参照。(3月21日公開予定)
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